埼玉県東松山市、千葉県館山市及び銚子市、伊豆半島修善寺町の4サイトを観測ネットとして、1979年6月からその本観測が開始された岩盤強震アレ-観測(表俊一郎委員長)は、1983年8月より更に埼玉県小川町、茨城県大洗町及び千葉県館山市の補助観測点を追加して、合計7サイト21点63成分のアレ-観測が実施継続されており、今日まで既に12年以上の期間にわたって多くの貴重な地震動記録を蓄積してきた。本研究は、これらの膨大なアレ-観測デ-タの中から特に比較的観測振幅の大きな305地震による4966成分の加速度時刻歴デ-タを用いて関東東海地域における短周期地震動の距離減衰特性に関する平均的な実験式を周期領域で求め、これよりQ値及びその周波数依存性を定量評価した。次に、この実験式を当該地域における平均的な距離減衰特性を表わす標準尺度として用いることにより、観測値とこの実験式による計算値との差異から短周期地震動の距離減衰特性に関わる地域特性を抽出し、その結果を他の地震学的デ-タと比較考察をして、本研究結果の妥当性を吟味した。 なお、1989年以降は当該地域における地震発生がそれ以前に比し極めて少なかったため、最終年度用いたデ-タは初年度にそれに特に新たに追加することはしなかった。しかし、S波のQ値に関する新たな研究が最近幾つか発表されているので、本研究で求められたQ値およびその周波数依存性[Q(f)=af^nにおけるnの値]をこれらと比較照合して考察した事項もとりまとめ、初年度の1990年12月に東京で開催された第8回日本地震工学シンポジウムで発表した研究成果に次いで、1992年7月にマドリッドで開催される第10回世界地震工学会議にて発表致すべく論文を作成し、原稿を事務局宛て既に送付済みである。
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