目的まちづくりが市民の権利として定着していくには、あらゆる階層が参加し、その要求によって、まちづくりの内容が具体的により豊かになることが重要と思われる。本研究は女性の参加する事例をとおして、まちづくりがどのような過程で進展していったか、そのなかで女性が参加していることとの関連を考察しようとした。 結果まちづくりの形態と参加の形態は様々なレベルでとらえられることがわかった。1、直接まちづくりを意識していないが、こどもの溜まり場づくりや親の溜まり場づくり、老人の世話など、まちに住むひとびとの交流づくりに取り組んでいる活動があり、その中心に女性が存在している。住民間の交流が深まるなかで、すみつづけたいという要求となって。まちづくり運動に発展していく例がみられた。まちづくりすそ野を形成している重要な活動の形態ととらえた。この活動はまちづくりのなかでも、ソフト面の町のひとびとの交流生活づくりとして位置づけられ、女性の生活者としての視点が生かされている。2、まちづくり活動がすぐはじまるわけではなく、直接的な問題(マンションの建設など)が発生するなど、せっぱつまった動機があるところが多い。日当りが悪くなると、たいがいの主婦が強く反応している。 3.運動のなかで、学習等がおこなわれ、地域エゴでなく、住民の権利であり、義務であるという確信がうまれることによって、正義のため、あるいは子どもたちのためにという思いが、あらたなエネルギ-源となっていく。 4、動機になった運動がおわったあとも、主婦の日常的な活動をいかして、地域づくりにとりくむ新たな活動を継続している事例がある。すぐれた事例が運動の連絡網を通じてひろがり、ささえあっている。
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