今年度に実施した研究調査項目は以下の通りである。 (1)首都圏で昭和40年3月迄に公的機関から分譲された初期の集合住宅100団地について現地に出向き実地検分を行った。代表者に住宅管理の実態についてヒヤリングを加えた。調査の際、住戸内外の老朽化の現状を写真等で記録した。 (2)昭和30年代に東京都住宅供給公社によって建設され、分譲された共同住宅居住者を対象に、集合住宅の維持管理改善、建替等に関するアンケ-トを実施、20団地937戸に対して、530票を配布し、362票の回収を得た。 (3)都公社分譲住宅自治会、もしくは管理組合代表者にアンケ-ト調査を行い、24配布し、15団体から回答を得た (4)建て替え関連の首都圏の15団地および関西の5団地については代表者から建て替えについてのヒヤリングを加えた。 (5)都内に立地する5団地については、土地建物登記簿及び住民票の書き写しを行った。 新たに得られた知見 (1)の調査では団地ごとに維持管理の状況は異なるが、一部団地ではかなり老朽化し、危険建築物化しているものもあった。高層住宅で多かった。 (2)の調査からは建物内の老朽化が進んでいるため、建替を望む居住者が多いことがわかった。 (3)からは都公社分譲住宅の所有権留保方式が適切な維持管理や建替運動にも障害となっていることが判明した。 (4)からは建替のコンサルティング方式に様々な問題点があった。 (5)からは居住者の高齢化が進んでいること、業者により地上げが巧妙に行われていること、当初の社宅がかなり個人に払い下げられていること等が判明した.
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