ル・コルビュジエの絵画、彫刻、建築の制作に関して、本年度は以下の研究調査を行った。 1.1945年以降に展開される、ル・コルビュジエの彫刻制作の実態を解明するため、その共同制作者、J.サビナとの間に交わされた往復書簡のうち、現時点で入手可能なもののコピ-を、パリのル・コルビュジエ財団から入手し、その整理作業を行った。書簡の一部は、昨年度すでに入手して、その整理方法などを検討していたが、その後の調査の進展により、追加資料が入手でき、その整理、解読の作業を行った。これによって、彫刻作品の制作過程における、ル・コルビュジエの創造活動の本質的部分を規定することができた。 3.以上の分析の結果、特に建築作品の制作過程と照合することにより、そこに共通する、制作過程と発想の諸様態が明かとなった。 3.これら一連の作業の結果を通して、ル・コルビュジエの「建築家」としての活動の本領を総合的に考察し、ル・コルビュジエが構想する「諸芸術の総合Synthese des Arts Majeurs」の具体的内実を解釈し、現代における建築設計行為の原理的指針に基礎的知見を加えることができた。
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