研究概要 |
1.超長期強度予測では比較的短期間で得られた性質をもとに外挿を行うが,岩石や岩盤の物性に含まれる誤差は超長期間の外挿では大きな誤差となる可能性も高い。そこで無視されることの多い弾性定数の異方性の影響を検討し,岩石が一般的に有する異方性を考慮した解析を行った。解析に先立ち,まず異方性の要因も対称性も仮定することなく21個の弾性率を決定する方法を議論した。さらに地下構造物の対象となることの多い花崗岩の異方性が配向性クラックに起因することが明かとなってきたので,異方性の原因が配向性クラックに特定できる場合について,互に直交する二つのクラック配向面とランダム分布を仮定し,弾性定数および対称性の決定方法を確立した。 2.地層処分等の対象となることの多い花崗岩にはマイクロクラック規模からジョイント規模まで,さまざまな規模のきれつに顕著な配向性が認められることが明かとなった。多くの機関によって行われた広範な花崗岩岩盤のジョイント調査結果を現在収集しており解析することを試みている。少なくとも西日本内帯の花崗岩岩盤の多くはジョイントの配向性を示しており,その定向性も認められた。 3.室内試験で得られたきれつ表面の凹凸にはフラクタル性が認められ,原位置で測定された天然のジョイント表面から得られたフラクタル次元とほぼ一致することが認められた。フラクタル次元とクラック速度に関連性を見出すことはできなかった。 4.DT法による長期間試験の準備が整ったので,来年度に向けて実験を開始する予定である。
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