研究概要 |
1.本研究により作成した比抵抗断面画像解析装置は、電流送信ユニット、電位差受信ユニット、測定槽より構成されている。電流送信ユニットは1μA〜1mAの微小電流を制御できる。電位差受信ユニットは10μV以上の電位差の測定が可能である。測定槽はアクリル樹脂の円筒状水槽であり、白金の電極を周辺に針状にめぐらしている。白金を電極に採用したことにより、電極の分極を防ぐことができる。最初の計画では岩石試料に直接に電極を接触させることを考えていたが、湿潤した岩石試料の場合でも受信信号が不安定になり、十分な測定精度が得られないことが判明したので上記の測定槽を採用することとした。これによって試料と電極との間に水が介在することになるが、数値シミュレ-ションの結果によれば,水の比抵抗を予め測定しておけば,その影響を考慮して岩石試料内の比抵抗分布を再構成できる。 2.画像再構成ソフトウェアを開発した。これは比抵抗トモグラフィの再構成技術を基本にしているが,境界条件の取り扱いが異なる。すなわち、通常の比抵抗トモグラフィでは半無限領域(大地)を対象とするため固定境界条件を設定できるが、本研究の場合、境界の電位はすべて未知数となる。そこで本研究では、正負一対の電流源を同時に考慮したことにより有限領域の電位分布の計算が可能となった。これまでに種々の2次元モデルについて、その比抵抗分布を再現できるかをテストしてきたが、特に複雑な比抵抗構造でなければ、再現精度は良好であった。
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