以下の2つの合金について、超高圧下でのX線回折と電気抵抗測定実験を行ない、高圧下での状態図について新しい知見を得た。 1.FeーNi Fe_<0.7>Ni_<0.3>合金の2つの相について室温で45GPaまでの圧力下で相転移を調べた。α'(bcc)・マルテンサイト相が8GPaでγ(fcc)・オ-ステナイト相に変態することがわかった。変態に伴い、0.17×10^<-6>m^3/molの体積減少と電気抵抗の大巾な上昇が認められた。以前のKanfmanとCohenによる常圧でのAs点(623K)が8GPaで室温まで降下したことになる。平均のαAs/dP=-40.4K/GPaと上述の体積減少から、この逆マルテンサイト変態に伴うエントロピ-変化として△S=423J/mol・Kが得られた。なお、γ・オ-ステナイト相は室温で少なくとも35GPaまで安定に存在することがわかった。 2.CuPt CuとPtが1:1の合金は常圧では812℃以下でCuPt型とよばれる特殊な規則構造をもつことで知られている。最近、滝沢らはFLAP法による第一原理計算により、41GPaでこの規則相がCsCl型構造へ移転することを予想した。我々は室温でのX線回折実験によりこの転移の検出を目指した。規則化処理を行なった薄片試料(Cu50.07at%)を用いた。計算では41GPaで、ユニット・セルの体積が常圧での値の12%減である387A^^°^3になったところで転移が起こるとされているが、現在、70GPaで35A^^°^3に圧縮しても未だ実現していない。活性化エネルギ-が関与するカイネティクスの問題があると思われるので、より高く100GPa程度までの加圧を続ける予定である。 3.Si単体及びSiーAl系についての研究は、2.の終了後=実施する計画である。
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