研究課題/領域番号 |
02650469
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
頓田 英機 熊本大学, 工学部, 教授 (90040386)
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研究分担者 |
高島 和希 熊本大学, 工学部, 助教授 (60163193)
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キーワード | 六方晶金属 / マグネシウムーリチウム / 非底面すべり / 転位 / 単結晶 / 異常温度依存性 / 熱活性化過程 / 交差すべり |
研究概要 |
MgーLi合金単結晶試料の〈112^^ー0〉引張試験により次の結果を得た。(1)温度77Kー293Kでは、{112^^ー2}〈<11>^^^ー23〉2次錐面すべり(SPCS)の活動により降伏する。(2)SPCSによる降伏応力は、温度上昇と共に増加する異常温度依存性を示す。(3)SPCSによる降伏応力は、Li添加量の増加にともない減少し固溶軟化を示す。(4)SPCSによる降伏応力は、歪速度の上昇により増加する正の歪速度依存性を示す。しかしながら、その増加の程度は純Mgにくらべ小さい。 引張試験した試料のすべり線、エッチピット観察により、降伏時には帯状のすべり帯を形成する不均一な変形をすることがわかった。またこのすべり帯の分布状況が、各温度域で大きく異なる。透過電子顕微鏡観察により、すべり面上には階段状の(c+a)らせん転位が多数存在し、2重交差すべりが頻繁に生じていることが明らかになった。また多くのc刃状転位が分布していることから、(c+a)刃状転位が分解し不動化していると考えられる。 本研究では、以上の結果をもとにMgーLi合金におけるSPCSによる変形過程が、(c+a)刃状転位の熱活性化による不動化過程と、(c+a)らせん転位の2重交差すべりによるすべりの伝播過程により説明されることを示した。すなわち、温度上昇にともない刃状転位が不動化する頻度が高くなると、外部からの歪速度を満足するために、より高い頻度で2重交差すべりを起こさなければならなくなるために降伏応力が上昇することになる。Liを添加した場合には、らせん転位の2重交差すべり過程が容易になるために、純Mgにくらべ降伏応力が低下し、固溶軟化すると考えられる。
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