研究概要 |
当初,流体の平均速度と乱れ強さを同時に測定できるプローブの作製を目指したが,乱れに起因する球の抵抗の変動と支持棒を含めたプローブの振動に起因する抵抗変動を明確に分離することは,乱れ強さが100%を大きく越えるような冶金反応容器内の流れ場においては非常に難しいことが判明した.したがって,現在平均速度のみを測定できるプローブの開発を進めている. 耐火レンガとステンレス浴槽を用いて円筒形の浴を作製した.プローブをターンテーブルの回転腕に取り付け,約70℃から数100℃にわたるウッドメタル浴内を旋回させ,検定を行い,支持棒の影響を明かにし,実用化への目途をたてた. つぎに連続鋳造モールドの水モデルを用いて,モールド内に本球抵抗プローブを浸漬し,流速測定を行い,その結果をレーザードップラー流速計による測定値と比較してその妥当性を検証した.レーザードップラー流速計による測定値との偏差は±15%以内であった.さらに標準定数に基づくk-ε乱流モデルを用いた数値計算結果と比較し,自由表面が存在する場合にもこの乱流モデルが十分な精度で適用できることを確認した.現在,電磁撹拌装置により駆動したモデル円筒容器内の溶鉄中にプローブを浸漬し,測定精度の確認を行うとともに,k-ε乱流モデルを用いた数値計算を実施している.平行して実操業におけるモールド内の溶鋼流動速度測定を試みている.
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