研究課題/領域番号 |
02650486
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
館 充 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50013074)
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研究分担者 |
大塚 教夫 千葉工業大学, 工学部, 助手 (10110868)
雀部 実 千葉工業大学, 工学部, 教授 (00016370)
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キーワード | 製鉄 / 溶融還元 / 溶融酸化鉄 / 石炭 / 揮発分 |
研究概要 |
本年度は還元の際に発生するガスおよび還元にともなう酸化物組成の変化を調べた。発生するガスを一定時間毎にガラス製ガスサンプラに集め、これをガスクロマトグラフにて分析し、生成したガスの種類と発生量を調べた。アルミナるつぼ中に酸化鉄ーCaOーMgOーSiO_2ーAl_20_3(以下、スラグ)を溶解しておき、これに高揮発分炭であるベ-ズウォ-タ-炭を球形に加工して浸漬し、酸化鉄を還元させた。比較のために電極用黒鉛およびベ-ズウォタ-炭の揮発分を予め除去したもの、すなわちチャ-も還元剤とした。チャ-を製造する際に生成した揮発分も回収しガス分析した。還元速度は発生するガス量およびガス成分の変化から求めたが、還元後のスラグ試料も化学分析したクロスチェックを行なった。また、溶融スラグ中での石炭からの揮発分の発生状況はX線透視法で観察した。 X線透視観察およびガス分析により、石炭中の揮発分は石炭が溶融スラグに投入された直後から活発に発生することがわかった。揮発分の主成分はメタンと水素であることが明らかとなった。ガス分析から求めた還元率とスラグ分析から求めた還元率は、ほぼ一致した。石炭による還元の際の還元速度は、チャ-あるいは黒鉛によるそれよりも大きかった。黒鉛およびチャ-による還元速度はほとんど同じ値であった。これら還元反応速度は還元率に対し見掛け上一次反応速度式として整理できることを明らかにした。また、見掛けの反応速度定数の温度依存性はアレニウスの式に従い、その見掛けの活性エネルギはチャ-と黒鉛の場合には約35kcal/mol、石炭の場合には約15kcal/molであった。 以上の結果より、石炭中の揮発分は溶融還元にとって有利に働くことが明かとなった。
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