合金の凝固界面形態であるデンドライト界面に対する融液流れの影響が、(a)合金デンドライト・モデルとしてのビスカス・フィンガー、(b)デンドライト主軸形成機構、(c)界面近傍における自然対流の観点から研究された。 合金デンドライト・モデルとしてのビスカス・フィンガーにおいてはビスカス・フィンガーが、ヘレ・ショウ・セル内の圧力を合金の凝固の場合における温度と対応させることにより、支配方程式及び境界条件式が対応し、界面形態も合金のデンドライトと同様の形態を示すことが実験的にも示された。これより、ビスカス・フィンガーのサイズが大きいこと、界面近傍の圧力測定が容易なことなどより、ミクロ偏析の原因となる二次アームの形成機構の解明に有益な資料であることが示された。 デンドライト主軸形成機構の研究においては、界面に沿った方向への熱の輸送が曲率勾配の変化に比例してなされるとして、理論を構築すると、純物質あるいは合金の過冷却凝固、一方向凝固にかかわらず、統一的に記述できることが示された。また、この理論形式はデンドライト先端近傍のみでなく、先端から離れた界面の凝固についても扱えるため、二次アームの形成機構解明の点でも優位であることが示された。 界面近傍における自然対流の凝固への寄与が数値シミュレーションにより研究された。特に、重力に関して凝固方向が同じである場合、逆方向である場合について、ある与えられた過冷却度におけるデンドライト先端成長速度、先端曲率半径に与える影響が詳しく調査され、凝固界面形態に与える融液流動の重要性が示された。また、融液流動に支配されない凝固特性量が見いだされ、二次アーム形成機構との対応が検討された。
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