研究概要 |
銅、Tiー6Alー4V,Tiー15Vー3Crー3Snー3Al合金の高速熱延急冷実験を行い、組織に及ぼす熱延条件の影響を明らかにした。銅の熱延ではロ-ルと材料の間の摩擦が不安定になるので潤滑圧延のみを行った。銅の熱延急冷材の組織は、高温、高圧下率側で静的再結晶によると思われる等軸組織となり、その粒径は歪に依存した。Tiー6Alー4Vの高速熱延では、表面直下にせん断変形の集中する層が生じた。このせん断変形の大きさは圧下率及び圧延温度に強く依存し、圧下率が大きいほど、また温度が高いほどせん断変形は大きい。また潤滑方法の影響はほとんどない。α+β相域で圧延すると、強いせん断変形が加わる部分ではα相が再結晶を起こし、微細な等軸状組織を生じる。焼鈍するとさらに再結晶が進行して広い範囲で微細な等軸組織が現れる。β単相域での圧延では、強せん断部に再結晶により微細化したβ相からの変態による微細なマルテンサイトを生じるが、これは焼鈍を行っても等軸組織にはならない。板厚中心部では、すべて層状組織となった。このことから、α+β相域で大きなせん断変形を与えるように加工すれば、微細な等軸組織を得る可能性があることがわかった。Tiー15Vー3Crー3Snー3Al合金の熱延でも表面直下に強せん断層が生じた。この部分には、微細な再結晶粒が層状に発生し、その粒径は温度が低いほど、圧延後の冷却速度が速いほど小さく1073K水冷材では約3μmとなった。この熱延板を冷延焼鈍することにより。表面付近の粒径が約10μmの板を得た。集合組織の測定はすでに開始しており、Tiー6Alー4V合金の強せん断層では顕著な集合組織が発生しないことを見出しつつある。平成3年度は、ほかの材料の集合組織を測定するとともに、より微視的な組織観察を行う予定である。
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