研究概要 |
イオンビーム エッチングと塑性加工を組み合わせて材料表面に3次元的に制御した微細表面形状を形成する方法を考案した.その原理は2次元の穴パターンを有する金属箔をマスクとして被加工材の表面直上に配置する.このとき被加工材とメタルマスクの距離を数十μmから数μmの範囲で制御し一様にする.イオンビームの周りこみ効果(under-cut)とメタルマスクの穴壁の端末効果により2次元パターンの穴縁部分においては穴中央部より少くドライエッチングを受ける.その程度は穴縁を基準として中央よりは大きく,外側になるほど小さい.その勾配は被加工材とメタルマスクの距離を小さくするほど急になり,数度から85度くらいの間で制御が可能である.このように深さ断面形状を制御した微細表面キャビティを30mm角の超硬合金平面ブロックに対して形成することができた.メタルマスクをわずかに浮かして保持する方法は,外形が円柱の治具を配置して,平面ブロックを円柱底面の一部にするように構成したのち,メタルマスクをその円柱底面で張り出すような形で一様な等2軸引張り応力を発生させることにより達成できた. この方法はArイオンによるドライエッチングによっているのであらゆる金属,合金,セラミックスなどの硬質金型材料に対して適用可能である. なお現状では2次元パターンは直径200μm,ピッチ260μmの円形穴が規則的に分布したもの(開口率約53%,厚さ100μmのSUS304箔)である.ドライエッチングの性格上深さ方向は浅い穴ほど容易であるが,深いものでは50μmまで深さ断面形状がよく制御されたものを作成できた. こうして作成した金型を用いてコイニングにより反転した微細表面形状を有する板材試験片を試作できた.
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