研究概要 |
1.パルスCVD装置の試作 鋼/Co/Ti(C,N)/SiC/SiO_2多層膜の析出用装置を作製した。排気系は2連ポンプで速度を上げる構造とした。 2.コバルトめっき鋼板上へのTiCおよびTiN膜の蒸着条件の検討TiCについては炭素源としたプロパンを用いたとき、900℃以上で析出した。TiNについては800℃以上で析出したが、膜の状態は900℃以上で良好であった。これらの層の蒸着中に下地のコバルト/鉄間および金属原子の蒸着層への拡散が見られ、これを抑制する条件の検討が重要な因子であることがわかった。 3.TiC膜およびTiN膜の結晶構造と析出条件 TiCは900℃では結晶性が低いが920℃以上で急速に結晶化が進む。これに対してTiNは800℃でも十分結晶性の高い膜が得られた。 4.TiCまたはTiN層上へのSiC層の蒸着条件の検討 上記2項でのべたように下地の金属原子の拡散を抑制しながらCH_3 SiCl_3 -H_2の雰囲気からパルスCVDを行う条件を検討した。蒸着は800℃以上で起こるが析出速度は900℃以上にならないと極めて遅い。析出層の厚みが5μm以上になると下地との熱膨脹係数の違いによる応力が顕著になり、主としてTi(C,N)/SiC界面で剥離し易くなった。このため、SiC層蒸着のパルス数は2000〜3000パルスに抑える必要があることがわかった。 5.SiC表面の酸化条件の検討下地の金属原子の拡散を抑制しながら乾燥空気流で酸化する条件を求めた結果、常圧下、900℃、1〜2時が適当であることがわかった。この条件で生成するシリカ膜の厚みは0.1μm程度であったが、耐食試験には十分と考えられた。 6.Cl_2/O_2/Ar混合ガスによる耐食試験 塩素及び酸素を共に30%とし900℃で試験した結果、TiCを中間層とした方が耐食性がよかった
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