研究概要 |
種々の組成のTiAlおよびCあるいはNを添加した化学量論組成のTiAlを時効析出の手法により組織制御して得られた成果は以下の通りである. 1.組成によるTiAl(γ)の組織変化(1)Tiーrich TiAlの組成を0.25at%おきに変化した47〜52at%Alの範囲の合金の1373K溶体化組織は,ほぼγ単相組織である.973K時効組織は,低Al側合金では析出物は観察されず,高Al側で母相γ中への微細析出がみられた.侵入型の元素,CあるいはNを添加することによる析出の可能性を示唆する.(2)Alーrich TiAlの組成を2.0at%Alおきに56〜62at%Alの範囲とした合金の1473K溶体化組織は再結晶γ単相である.973〜1173K時効組織ではTiAl_2の析出が観察されたが,微細分散相とはいい難い,母相γは熱処理条件により長周期構造となる. 2.CあるいはN添加による化学量論組成TiAlの組織の変化(1)CあるいはN無添加合金の1423K溶体化組織はほとんどγ単相の等軸晶であるが,CあるいはNの添加量の増加とともにγ/α_2や双晶からなる層状組織の体積率が増加する.(2)973〜1173K時効組織中には,母相γの[001]に平行に一方向にのみ微細針状析出相が形成される.析出相はペロブスカイト型のTi_3AlCあるいはTi_3AlNであり.母相γとペロブスカイト型析出相との方位関係は(100)_m//(100)_P,[001]_m//[001]_P(pは析出物)である.この相の析出によりわずかに時効硬化するが,過時効軟化が大きい.(3)長時間あるいは1223k以上での時効ではTi_3AlCあるいはTi_3AlNの析出がみられる. 3.室温圧縮強度(1)ペロブスカイト相の析出による室温強度の上昇はあまり期待されない.(2)973K時効における強度はわずかに上昇するが,1073Kおよび1173K時効では,時効時間とともにむしろ強度は低下する傾向を示す.(3)0.5at%Nを添加した合金は0.5at%C添加合金よりも高強度を示す.
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