研究概要 |
1.光音響分光分析装置の小型化 光源としてダイオ-ドレ-ザ-(824nm)ヘッドを取り入れることによって,装置のスペ-スは従来のレ-ザ-発振器を用いるものに比べ,約10分の1に縮小された。さらに,小型化にするためには,駆動用電源および低周波発振器の改良が必要となる。 2.セルの試作と測定条件の検討 固体用セル(真鍮製,W50^<mm>×D60^<mm>×H70^<mm>)を設計し,製作した。試料中の微量成分を濃縮したメンブランフィルタ-(φ13^<mm>)あるいは均一粒径イオン交換樹脂(φ550μm)10粒をおさめた試料室,光音響信号をとらえるマイクロフォン(φ8.0mm)を内蔵した直径5cm,高さ10cm程度の円筒型の大きさである。現在,最適測定条件を検討しているが,ノイズの信号が大きくでるため,とくにセル周辺の振動に対する防震策を研究中である。 3.測定試料の調製 環境試料水中のリンの定量を目的として,リンモリブデン青ー陽イオン界面活性剤の沈澱をメンブランフィルタ-上に濃縮する吸光光度法および目視半定量法を確立した。検出下限はそれぞれ0.2μgおよび0.05μgであった。この試料を本研究の光音響分光法に適用すれば,検出下限はさらに一桁はさがる見込みである。また,リンモリブデン青を均一粒径の陰イオン交換樹脂に濃縮し,その中の10粒の樹脂を従来の光音響分光法で測定し,0.05〜0.5μgのリンを定量する方法を発表した。(Anal.Chim.Acta)
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