研究概要 |
1.光音響分光分析装置の測定条件の検討 自作した真ちゅう製の固体用光音響セルにダイオ-ドレ-ザ-(波長826mm)ヘッドを直結し,目的成分を濃縮したメングランフィルタ-をセル内に装填したときの基礎的測定条件を調べた。結果は次のとおりである。 (1)レ-ザ-出力が増すにつれて光音響強度も比例して増大するが,レ-ザ-発振器の寿命を考慮して出力を30mW(使用電流104mA)にした。また,ロックインアンプの時定数を1秒に設定した。 (2)試料を測定する際の周波数と光音響強度との関係を調べ,雑音による影響をも考慮して,測定周波数は39Hzまたは69Hzを採用した。 (3)試料とセル上部ガラス面との空間は,最大の光音響強度が得られる1.0〜1.5mmの距離になるように調節した。 2.実試料への応用 前年度に確立したリン酸イオンのメンブランフィルタ-濃縮ー目視定量法にしたがって試料を調製し,リン酸イオン濃度と光音響強度との関係を調べた。定量範囲はリン酸イオンとして0.05μg〜1.0μgであったが,再現性に乏しかった。その原因のひとつはフィルタ-上に濃縮された沈殿が均一に分布していない問題があり,濾過面積を小さくするなどの工夫が必要となった。また,定量範囲も目視定量法と同程度なので,さらに感度を向上させるために,セル内のバックグランドを減少させる目的で差動式マイクロホンを内蔵させた差動型光音響セルを試作し,その性能を検討中である。 目視定量法により降水(降雨および降雪)中のリン酸イオンを定量したところ,その濃度は40〜55PPbの範囲にあり,導電率の値と相関性がないことがわかった。
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