研究概要 |
今年度は以下の諸点について研究を進めた。 1.酵素固定化ラテックス調製の最適化。ラテックス表面の官能基としてアミノ基とカルボキシル基を、スペ-サ-として炭素数6ー12の直鎖ωーアミノカルボン酸とジアミンを、固定化法としてカルボジイミド法とグルタルアルデヒド法を、酵素固定化後の粒子の分散性、固定化酵素の比活性の二点に関して比較した。また、スチレン(St)ーアクリル酸(Ac)の共重合体ラテックスについてはモノマ-組成の効果についても調べた。Acのモル分率0.25〜0.3のStーAcラテックスにヘキサメチレンジアミンをスペ-サ-としてグルタルアルデヒド法で酵素を固定化したとき、FIAで使用するのに最適なラテックスが得られた。 2.リンゴ酸脱水素酵素(MDH)を中空反応管に固定化した場合とラテックスに固定化した場合の速度論的な比較を行った。単位体積当たりの酵素量を等しくして比べたところ、管内径が0.5mmの場合には見掛けの反応速度は酵素固定化ラテックスの方が約2倍高い。回転数の大きい酵素ではその差がさらに拡大するものと考えられる。 3.FIA系内での酵素的サイクリングを用いるNADHの測定法について検討した。すなわち、アルコ-ル脱水素酵素を中空反応管に固定化し、この中に過剰の基質とMDH固定化ラテックスを含むキャリヤ-を流し、ストップトフロ-法の採用により、少量のNADHから多量のリンゴ酸を生成するというもので、MDH固定化ラテックスはリンゴ酸からNADHを生成する検出反応にも用いている。約2時間の反応時間で20倍に増幅されることが分かった。 4.FIA系での使用を前提として,安定なユニラメラリポソ-ムの調製法およびタンパク質の導入法について基礎的な検討を行った。
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