研究概要 |
化学発光法を分析に利用する際、分析対像物への選択性が最も大きな問題点である。そこで化学発光を検出器とした分離分析システムを考案し、より効果的な定量法を開発することに目的を置き本研究を遂行した。目的達成のための第一段階として、ルミノ-ル/H_2O_2の化学発光反応系に対する各種金属元素の触媒としての増感効果に関して集中的に検討した。選択した金属元素は、コバルト(II)、銅(II)、鉄(III)など主に遷移元素である。その結果、増感効果の度合いはコバルト>マンガン>,鉄>銅>金>カドミウム>ニッケル>セリウムの順であった。それぞれの検出限界を求めたところ、コバルトについてはこれまでの報告された結果に比べ劣る結果となった。このことについて種々検討したところ今回われわれが設計したフロ-系が2流路であったため、ルミノ-ル、H_2O_2そして金属イオンが均一に混合されないまま化学発光検出器へ導入されたためであることが推測された。これを改良するためにはフロ-系を3流路とし、まずルミノ-ルとH_2O_2を混合させた直後、金属イオンを添加させるようなフロ-系を組み立てなければならないと考えられる。ランタン、セリウム、サマリウムなど6種類の希土類元素について検討したところ、セリウムについてのみ増感効果が現れたところから多量希土類中のセリウムの選択的定量が可能であると考えられる。また本研究で得られた結果から、コバルト、鉄、ニッケル、銅及び亜鉛のポストカラム法による同時定量が可能であることが分かった。さらに貴金属元素の中の金について検討したところ、約5ppmまでは検出可能であり、現在さらに低濃度まで検出できるよう引き続き検討中である。
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