研究概要 |
1.本研究は、酸素イオン導電性固体電解質/電極で構成される気相電気化学系の酸素ポンプ機能及び活量制御機能を積極的に活用した炭酸ガスの有効物質への高効率変換系の開発を目的とした。 2.二、三のガス雰囲気下((i)CO_2,(ii)CO_2/H_2O)での電流一電位関係、界面インピ-ダンス、反応生成物及び電流効率の解析に基き、系特性の重要な支配因子である界面構造の還元反応特性への影響について検討した。 (1)固体電解質にはZrO_2系及びBi_2O_3系を用いた。8m/o Y_2O_3安定化ZrO_2は安定に動作し、大きな分極(ー1.5v〜ー2.0v)による部分的電子導電の出現に対しても酸素との反応により界面特性は回復する。低温動作が期待されたBi_2O_3系は短時間のうちに還元され使用に耐え得る安定動作はしない。 (2)炭酸ガスの還元は、電極材料(Ag,Pt,Ni,La_<0.5>Sr_<0.5>MO_3;M=Co,Ni,Mn)及び電極/電解質間のマッチング状態の影響を受け、電気化学的及び接触的に進行する。La_<0.5>Sr_<0.5>MO_3電極系では、(i)の雰囲気において反応主生成物であるCOの電流効率〓_<CO>は最大約85%(M=Co)〜92%(M=Ni)にまで達し、どの単一金属電極系での電流効率(Ag=約70%,Pt=約80%)よりも大きな値を示す。又、(ii)の雰囲気下では、〓_<CO>は低下するが、COに加えCH_4が生成する。酸化物電極系で〓_<CH4>は<1%、PtあるいはAg電極系で<2%である。 (3)大きな分極下(約ー1.5v〜ー1.9v)では、固体電解質の部分的電子導電の出現によるバルク抵抗の急激な低下が見られ、それに対応した各生成物の〓_Xの低下が起こる(〓_X→0)。(ii)の雰囲気は、(i)雰囲気よりも部分的電子導電の出現を抑制する。又、酸化物電極系は、金属電極系に比べ電子導電の出現もおそく、界面の分極による安定性と動特性もより良好である。各電極系の界面構造は、基本的には電解質バルク抵抗、界面の不均一性に帰因するCPE、非線形有限拡散及び電荷移動に対応した各インピ-ダンスの組み合わせによって等価回路的に表現できる。
|