研究課題/領域番号 |
02650580
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅 耕作 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (90016642)
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研究分担者 |
藤平 正道 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (40013536)
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キーワード | ラングミュア-ーブロジェット膜 / 電子スピン共鳴 / スピンプロ-ブ法 / ステアリン酸 / ドキシルステアリン酸 |
研究概要 |
本研究は電子スピン共鳴(ESR)法による機能性LB膜のキャラクタリゼ-ションと題し、ESRを用いてLB膜中の分子の空間規則性や分子と電子の動的性質を評価し、導電性LB膜中における電子伝導性の制御や、その他の機能性LB膜の構造制御と設計に役立てようとするものである。 本年度は、スピンプロ-ブ法によるLB膜のキャラクタリゼ-ションの可能性を明らかにするため、ステアリン酸のメチレン鎖のいくつかの炭素位にドキシル基を持つドキシルステアリン酸をスピンプロ-ブとするステアリン酸LB膜のESRスペクトルの測定に重点を置いて研究してきた。これまでの研究の結果、以下のような実験結果が得られた。16ードキシルステアリン酸を含むステアリン酸のLB膜(20層)をポリエチレンテレフタレ-ト膜に累積した試料のESRスペクトルは、運動性の異なる少なくとも2種類のスペクトルからなり、1つは比較的鋭い3本の吸収線を持ち、静磁場に対する角度依存性を示さないのに対し、もう1つのスペクトルは広い線幅を持ち明らかな角度依存性を示し、LB膜が静磁場に垂直の時最大の広がりを持つ。一方、5ードキシルステアリン酸を含むステアリン酸のLB膜のESRスペクトルは広い線幅を持ち、16ードキシルステアリン酸を含むLB膜のESRスペクトルに比較して、小さな角度依存性を示した。 これらの結果から以下の様な点が明らかにされ、LB膜に対するスピンプロ-ブ法の有効性が確認された。1.ステアリン酸LB膜中のメチレン鎖の先端部分は運動性の高い状態と、運動が強く制限された少なくとも2つの状態にあり、後者は比較的規則的な分子配列をし、メチレン鎖は膜に垂直な配向をしている。2.ステアリン酸LB膜中の親水基の近くのメチレン鎖の運動は強く制限されている。
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