研究概要 |
当研究室では、含フッ素強酸を用いる有機フッ素化合物の新規合成法の開発を行っているが。本研究はその一環として、ジアゾ化・脱ジアゾフッ素化反応を詳細に検討することにより、pーアミノフェノ-ル類(pーAP)からの一段法ジアゾ化・脱ジアゾフッ素反応による生理活性物質等の合成中間体として有用なPーフルオロフェノ-ル類(pーFP)の合成を行った。その結果、pーFP収率はジアゾ化温度、ピリジンーHFモル分率および脱ジアゾ化温度の影響を強く受けた、HFモル分率0.9以上かつ脱ジアゾ化温度100℃以下の条件ではベンゾキノンが生成し、脱ジアゾ化温度120℃以上ではじめてpーFPが生成することを見出した。最適条件としてジアゾ化温度,ー50℃;HFモル分率,0.84;脱ジアゾ化条件,140℃,1hでpーフルオロフェノ-ルが70%の高収率で生成した。これに対しカルボキシル基をもつpーAPはHFモル分率0.8以上かつ100℃以下の条件ではキノジアザイドを与え、140℃の反応温度では対応するカルボキシpーFPを90%の高収率で与えた。以上の結果から従来法、即ち芳香族ジアゾニウムフルオロボラ-ト塩(ArN_2BF_4)の分解(バルツ・シ-マン反応)では合成困難とされているpーFPが効率よく得られることが明かとなった。一方、トリフラ-ト基(ーOSO_2CF_3)は優れた脱離基であることから有機合成上有用な置換基であるが、これまでアリ-ルトリフラ-トは芳香核上のOH基を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させることにより合成されている。しかし、アミノ基がらのジアゾニウムイオンを経るーOSO_2CF_3基への変換については知られていない。そこで(1)ArN_2BF_4を含フッ素強酸であるトリフルオロメタンスルホン酸中での脱ジアゾ化反応、(2)芳香族アミン類からの一段法アリ-ルトリフラ-ト合成、(3)新規なアリ-ルジアゾニウムトリフラ-ト塩の合成とその脱ジアゾ化反応等につき検討したところ、いずれの方法も良好な収率で対応するアリ-ルトリフラ-トを合成できることを見い出した。
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