研究概要 |
可溶性セルロ-スアセタ-ル誘導休の合成にはセルロ-スを溶解した均一系で反応を進行させることが必要条件で、合成反応に適した溶剤の選択をセルロ-スの溶解機備から検討した。選択した溶剤はセルロ-スを不安定な誘導休化して溶解するクロラ-ル/ジメチルアセトアミド(DMAC)系溶剤と誘導休化せずに溶解するLicl/DMAC系溶剤でpートルエンスルホン酸触媒下ベンツアルデヒドジメチルアセタ-ル(BA)によるアセタ-ル化反応を行った。反応は両溶剤とも均一系で進行し沈殿ゲル化の生成は認められず、セルロ-ス分子間アセタ-ル化反応は生じていないことを確認した。この生成アセタ-ルは溶剤可溶性でBAがセルロ-スに分子内へミアセタ-ル状で給合していることをGC,IR,NMR測定で確認した。クロラ-ル/DMAC系溶剤ではクロラ-ルもヘミアセタ-ル状で結合しており、特にBAがクロラ-ルの水酸基にもヘミアセタ-ル結合した複雑な構造の混合アセタ-ルであること明らかにした。この結果からセルロ-スの均一系アセタ-ル化反応の溶剤にはLiCl/DMAC系溶剤が最適であるとした。BA以外にはアセトアルデヒドジメチルアセタ-ルを反応させた結果生成アセタ-ル水溶性であった。この性質は数少ない非イオン化セルロ-ス誘導休(低酢酸価酢酸セルロ-ス、メチルセルロ-ス)が示す水溶性と共通するものである。またこの均一系アセタ-ル化反応の速度論的研究を行い、反応は可逆二分子反応式に適合し反応の動力学的諸定数を求めた。反応の平衡定数は小さく逆反応が生じ易く、副成するメタノ-ルを反応系外に除去する必要があることを明らかにした。BAでは反応熱=12.2kcal/mol活性化エネルギ-=18.5kcal/molでPVAのアセタ-ル化反応の値とよく一致する結果を得た。
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