研究概要 |
可溶性セルロ-スアセタ-ル誘導体の合成にはセルロ-スを溶解した均一系でアルデヒドのジメチルアセタ-ル(ジメチルアセタ-ル)を酸触媒下で反応させることが必要条件であることは、平成2年度の研究から明らかにした。当研究の反応に適したセルロ-スの溶剤としては、セルロ-スを誘導体化せずに溶解する溶剤系が最適であることを見いだし、LiCl/非プロトン性極性溶剤系を用いて研究を継続発展させた。 反応系溶剤としてはLiCl/ジメチルアセトアミド(LiCl)系を主に使用してきたが、LiClと組み合わせる非プロトン性極性溶剤としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)も使用可能なことを明らかにした。 またLiCL/DMA系溶剤中で脂肪族、脂環式、芳香族の各種ジルチルアセタ-ルによる均一系反応で有機溶剤から水に溶解するセルロ-スアセタ-ルの合成法を確立した。これら生成物の化学構造は、アセタ-ルがヘミアセタ-ル構造で結合していることをGC,IR,NMR測定で解析した。そしてアセタ-ル化反中セルロ-スの分子量は低下しないことを生成物のGPC測定で確認した。 次にLiCl/DMA系溶剤中で各種ジメチルアセタ-ル類によるアセ-ル化反応の速度論的研究を行い、アセタ-ル化反応は可逆二分子反応速度式に適合することを明らかにした。各ジメチルアセタ-ルのアセタ-ル化反応に及ぼす置換基の影響を調べ、置換基効果のハメット・タフトの式の適合性について検討している。 さらにセルロ-ス以外の多糖類についても本研究で得られた知見を拡張し、セルロ-スと同様なヘミアセタ-ル誘導体の合成が可能なことを見いだした。
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