遺伝子診断に用いる彼酸分子集合体の構築とその応用を目的とし以下に示す結果を得ている。 1.ラベルDNAプロ-ブの合成とその修飾法の開発 核酸分子集合体として多機能を有するオリゴヌクレオチド及びその修飾体を選びそれらの化学合成法、精製法を確立した。 (1)10ー20量体のオリゴヌクレオチドを自動合成機によって合成した後、高性能逆相クロマトグラフィによる高純度精製法を確立した。(2)蛍光ラベル(フルオレセイン)をオリゴヌクレオチドのリン酸結合部位に導入する方法及びその精製法を確立した。(3)電子スピンをオリゴヌクレオチドのリン酸結合部位に高収率で導入する方法とその精製法を確立した。 2.ラベルDNAプロ-ブを用いた遺伝子検出法の基礎概念の確立 ラベルDNAプロ-ブを用いて溶液中に存在する対象遺伝子を検出するために必要な、溶液中でのラベル剤の運動性の変化と2重鎖形成との基本的関係を明らかにした。 (1)蛍光ラベルDNAプロ-ブが溶液中で対象遺伝子と2重鎖を形成するとその運動性が変化するが、その変化は蛍光偏光解消の変化としてモニタ-できることを明らかにした。(2)電子スピンラベルDNAプロ-ブが溶液中で対象遺伝子と2重鎖を形成するとその運動性が変化し、ESRスペクトルの変化としてモニタ-できることを明らかにした。(3)両ラベルDNAプロ-ブを用いた結果は溶液中でB/F分離なく対象遺伝子を検出できたことを示しており、新しい遺伝子診断法の開発の可能性が強く示唆された。
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