研究課題/領域番号 |
02650652
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
落合 洋 広島大学, 理学部, 助教授 (50033840)
|
研究分担者 |
上田 一義 広島大学, 理学部, 助手 (40223458)
|
キーワード | ポリビニルアルコ-ル / ホウ酸イオン / 錯形乱 / 分子内架橋 / 高分子電解質 / 光散成 / 疎水性対イオン / 対イオン間会合体 |
研究概要 |
前年度において、光散乱測定用の試料溶液の光学精製について90℃15時間以上の加温溶解、0.22μnフィルタ-濾過、3.0万G1時間遠心が最も効果的であることが判明したのでこの条件によって光散乱測定を行った。その結果、ホウ砂添加系(5ー80mM)に於けるPVA(M_xv=2_x×10^4)の分子量はホウ砂の存否に係わらず一定値を示し、ホウ酸イオンによる錯形成がPVA分子鎖内で起こり、先に見た極限粘度の増加は分子間架橋による分子量増加によるものではなく、排除体積効果による分子鎖の膨張が主原因であることが明きらになった。しかし、分子量の高いPVA(M_v=10^5)ではホウ砂濃度の増加とともに分子量はやや増加傾向を示し分子間錯形成による会合体形成の可能性を完全には否定できなかった。一方、第2ビリアル係数A_2ホウ砂濃度の増加とともに減少し、一定化する傾向を示し、PVAが高分子電解質化され、過剰に共存するホウ砂が添加塩として働き、その電荷遮蔽を強く受けて排除体積項を減少させていることが判明した。 電位差滴定より見積もったPVAーホウ酸イオン間の錯生成定数はA_2と同様にホウ砂濃度の低い領域では大きく、その後急激に減少してほぼ一定値を示した。これは錯形成が本来無電荷のPVA鎖への負電荷の取り込みを伴って起こり、PVAの高分子電解質化が進み、鎖上の電荷とホウ酸イオン間の静電反発による錯形成の抑制が主原因であることが判明した。このような高分子イオンと共存する低分子イオンの相互作用の重要性を考慮して行ったポリアリルアンモニウムイオンー疎水性対イオン系の研究から、高分子イオンの周辺で対イオン同志が疎水性会合体を形成して溶液構造を大きく変化させる特異な対イオン間相互作用の存在を明らかにした。
|