可溶性前駆体経由で合成した主鎖π共役高分子における共役連鎖長の制御

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02650653
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 筒井 哲夫 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (40037982)
• キーワード: ポリアリ-レンビニレン / 可溶性前駆体 / 主鎖π共役高分子 / 共役連鎖長 / ポリフェニレンビニレン / ポリジメトキシフェニレンビニレン / ポリチエニレンビニレン / ポリフリレンビニレン

研究概要

1)3種のポリアリ-レンビニレン(ポリフェニレンビニレン、ポリジメトキシフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン)の有機溶媒可溶前駆体から共役構造への変換過程を赤外吸収スペクトルと紫外可視収スペクトルを用いて調べた。また、紫外ー可視吸収スペクトルからは構造次陥となるシスビニレン結合の存在を検出できた。
2)前駆体から共役構造への変換過程でフィルムに延伸を加えることで、共役鎖中の構造欠陥を大幅に減少させることができることがわかった。延伸条件としては約50%の共役構造へあらかじめ変換後が最適であることがわかった。
3)第3高調発生実験から3次の非線形感受率X^<(3)>のスペクトルを求め、共役鎖への変換条件とX^<(3)>スペクトルの関係を比較した。3次非線形感受率には共役連鎖長の大きさが敏感に反映されることがわかった。
4)共役連鎖長を大きくする一手法として、前駆体高分子の脱離基をかさ高い基に変えることで前駆体高分子のコンホ-メイションを変え、生成する共役構造中の欠陥を減らす手法を試みた。脱離基をメトキシ基からイソプロポキシ基に変えることで、共役連鎖長が大きくなる傾向を確認できた。
5)新しいポリアリ-レンビニレンとしてポリフリレンビニレンの合成の手法を確立した。

研究成果

• [文献書誌] H.Murata,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito: "Preparation of HighーQuality Poly(2,5ーthienylenevinylene)Films" Synthetic Metals. 36. 95-102 (1990)
• [文献書誌] A.J.Brasset,M.Murata,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito: "Optical excitations in Poly(2,5ーthienylene vinylene)" Physical Review,B. 41. 10586-10594 (1990)
• [文献書誌] K.Kamiyama,M.Era,T.Tsutsui,S.Saito: "Third Harmonic Generation in Highly Oriented Poly(2,5ーdimethoxyーpーphenylenevinylene) Films Prepared by Use of the LangmuirーBlodgett Technique" Japanese Journal of Applied Physics. 29. L840-L842 (1990)
• [文献書誌] S.Tokito,T.Momii,H.Murata,T.Tsutsui S.Saito: "Polyarylenevinylenes Films Prepared from Precursor Polymers Soluble in Organic Solvents" Polymer. 31. 1137-1141 (1990)
• [文献書誌] H.Murata,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito: "Electrical Properties of Pristine Poly(2,5ーthienylenevinylene) Film" New Polymeric Materials. 2. 11-17 (1990)
• [文献書誌] 村田 英幸,筒井 哲夫,斎藤 省吾: "ポリアリ-レンビニレン薄膜" 高分子. 40. 186-189 (1991)