非線形光学特性を発現する化合物としては主としてシアノスチルベン系やアゾ系を合成した。側鎖型とエステル系の主鎖型ポリマ-を合成しそれらの液晶性と非線形光学特性について検討した。 シアノスチルベン系を側鎖につけた側鎖型ポリマ-はベンゼン環が二つよりも、三つ付いた三環系の方が液晶相の熱安定性は高かった。しかし、これらポリマ-は粉末状態では光第二高調波(SHG)は観測されなかった。 アゾ化合物としてはDisperse Red Iを合成し、アクリル酸やメタクリル酸の側鎖に付与した(染料モノマ-)。また、液晶モノマ-としてはメソゲン基をアクリル酸やメタクリル酸に付与した。 アクリル酸を骨格鎖とし、染料モノマ-と誘電異方性の異なる液晶モノマ-との共重合体は染料モノマ-の含有量が20%以上は得られなかった。しかし、メタクリル酸を骨格鎖とする共重合体は染料モノマ-の含有量に関係なく得られた。この共重合体は染料モノマ-が60%以下でスメクティックな液晶相を示した。 SHGの測定は共重合体をTHF溶液からネサガラス上にスピンコ-トし、膜を作り、つぎに等方相から液晶相まで高電圧を印加して均一な配向膜としたものを用いた。SHGは染料モノマ-の含有量の増加と共に大きくなった。液晶の配向性とSHGとの関係は見いだせなかった。 つぎに、染料モノマ-と液晶モノマ-との誘電異方性が同じ共重合体を合成した。この共重合体は染料モノマ-の含有量が30%以下でネマティックな液晶相であった。染料モノマ-が20%の共重合体のSHGは従来の値よりも20%大きかった。 キラル成分を有する主鎖型液晶ポリエステルは未配向でもSHGが観察された。
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