芳香族化合物系としては主鎖型液晶高分子(MLCP)について検討した。 合成したMLCPはコポリエステル型である。用いた芳香族化合物は6ーアセトキシー2ーナフトエ酸(BO6)、pーアセトキシ安臭香酸(PHB)とジアセトキシビフェノ-ル(BP)で、キラル化合物としてはアセトキシナフチルプロピオン酸(HNPA)、ショウノウ酸(DCA)や酒石酸である。(HNPAーBON6ーPHB)からなるコポリエステルはHNPAの含有量が10〜50mmolの範囲で液晶性が観察された。しかもコレステリック液晶に特有な指紋状組織がHNPAの含有量が20mmolで現われた。このコポリエステルは配向処理を行わなくても二次の非線形光学効果が観察された。この原因を検討するために、ラセミ体のコポリエステルを合成している。他のキラル化合物を用いたコポリエステルには二次の非線形光学効果は発現されなかった。しかし、ショウノウ酸系のコポリエステルではショウノウ酸の量を調節することによって、可視光域に選択反射光のフィルムを作製することができた。また、酒石酸の入ったコポリエステルでは強誘電性を示す系が見いだされた。高機能性の発現にキラル化合物は重要な役割をしていることがわかった。 側鎖型液晶高分子としてはジアルキルアミノシアノスチルベンをメソゲンとする系と、染料disperse red 1をアクリル酸やメタクリル酸の側鎖に結合させ、誘電異方性の同じ液晶モノマ-との共重合体を合成した。 シアノスチルベン系はモノマ-では二次の非線形性が確認されたが、高分子では発現しなかった。これは配向処理が不十分のためであろう。一方共重合体では染料の含有量に従ってx^2の値は大きくなった。誘電異方性が同じ共重合体では液晶性が発現している領域でx^2の値が大きかった。二次の非線形を高めるためには同じ誘電異方性のモノマ-を用いることが重要であることを示唆している。
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