研究概要 |
1.(CH_3)_2NーRLN(CH_3)_2(I;R^1=-(CH_2tm)とZーR^2ーZ(II;R^2=-(CH_2)_n^-,-CH_2CH_2(OCH_2CH_2)p;Z=ハロゲン)との2:1付加によりα,ωージアミン型鎖状アイオネン・オリゴマ-(III)を合成し,その構造を400MHzNMRにより確立した。 2.IIIの合成を検討している際に,I(m=2,3)とII(p=1)の1:1付加による新規なアイオネン・オリゴマ-(IV)の合成に成功した。IVはアイオネン・ポリマ-の生成における最初の中間体であり,I(m=2),II(Z=Br)の場合には70%以上の収率で得られた。二官能性単量体同志の反応の最初の中間体が高収率で得られた例はないので,この結果は注目に値する。また,IVは分子端に-N(CH_3)_2と-CH_2Zの両方の基を持つ鎖状アイオネン・オリゴマ-の最初の例でもあり,その溶液を加熱することにより通常の型のアイオネン・ポリマ-が得られた。(以上論文印刷中) 3.III(Z=Br)と種々のα,ωージブロミドとの反応によりアイオネン交互共重合体(V)の合成を試みたが,両者の溶解性,吸湿性が大きく異なるために高重合体は得られなかった。 4.3の結果から高重合度のVを得るためには,IIIの親水性を弱くすることが必要であると考え,Iの代りに4,4'ージピリジル等のより疎水性のジアミンとPーキシリレンジブロミド等のα,ωージブロミドと反応させて,2:1付加により鎖状アイオネン・オリゴマ-(VI)を合成した。これと種々のジブロミドとの反応によりVの合成を試み,生成物の構造を検討中である。また,VIの対アニオンをPF^-_6に変えることにより,VIとジブロミドとの反応を,アセトニトリル等の有機溶媒中で均一反応で行うことができるので,高重合度のVを合成できる可能性がある。そこでこの点についても検討中である。 5.Vの合成が予想以上に困難であったために,その機能を測定するに至らなかったが,4の重合体の構造を確立後にこれを行う予定である。
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