研究概要 |
ヒトの血液や分泌液は、そのヒトの血液型に従ってA型、B型、H型のオリゴ糖鎖を有する糖タンパク質を含むことが知られている。本研究では、重合可能なモノマ-に、化学合成したH型オリゴ糖鎖の末端部分を導入し、重合することによって、“血液型適合性"を有する高分子材料を合成することを目的とした。Nーアセチルグルコサミンに塩化アセチルを作用させて1位をクロル化、3、4、6位をアセチル化した。次にスペ-サ-として末端にメチルエステルを有するペンチルアルコ-ルを、シアン化第二水銀を触媒とした反応によりβ結合で導入した。ナトリウムメトキシドにより脱アセチル化し、ジメトキシトルエンにより4、6位をベンジリデン化し、3位のみがフリ-の水酸基であるグリコサミン誘導体(1__〜)を得た。次にDーガラクト-スを原料として、オルソエステルを経由する方法により2ーOーアセチルー3,4,6ートリーOーベンジルーαーDーガラクトシルブロマイド(2__〜)を合成した。さらに、Lーフコ-スを原料として、オキサリルブロマイドーDMF複合体等の反応試薬を用い、2,3,4ートリーOーベンジルーαーLーフコシルブロマイド(3__〜)を得た。(2__〜)による(1__〜)のガラクトシル化、さらに得られた二糖の(3__〜)によるフコシル化によって、HI型糖鎖の末端部分(抗原決定基)を合成した。三糖のスペ-サ-末端に、エステルアミド交換によりエタノ-ルアミンを導入し、さらにアクリル酸クロリドを作用させて、末端に二重結合を有するオリゴ糖モノマ-を得た。このモノマ-は、アクリルアミド、アクリル酸メチルと共重合し、HI型糖鎖誘導体の末端部分を有するポリマ-を与えた。NMRスペクトル等を用いて、ポリマ-中への糖鎖導入率を求めた。
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