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1991 年度 実績報告書

血液型抗原オリゴ糖鎖を有する生体適合性材料の合成

研究課題

研究課題/領域番号 02650662
研究機関東京工業大学

研究代表者

畑中 研一  東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70167584)

キーワードABO式血液型 / 合成高分子 / 酵素 / H型抗原 / オリゴ糖鎖 / 脱ベンジル化 / 共重合 / 糖転移
研究概要

細胞表層に出現する糖鎖は、細胞周期、分化、ガン化等によって量的、質的に大きく変化することが知られている。これらの糖鎖は、細胞膜抗原として、また、ある種の毒素や細菌のレセプタ-として機能していると考えられている。糖鎖抗原としては血液型抗原が最も広く知られており、赤血球表面、分泌液、胃粘膜表面などに多数存在している。このうち、本研究ではABO式血液型抗原に着的し、その活性部位の基本骨格を側鎖に有する高分子の合成を行い、酵素による認識を調べた。
ABO式血液型の基本骨格であるH型糖鎖の化学合成は、Dーガラクト-ス、Lーフコ-ス、そしてスペ-サ-部分をアグリコンに持つNーアセチルーDーグルコサミンを出発物質として、保護、活性化、脱保護という反応を繰り返し行った。さらに、その末端にビニル基を導入し、H型糖鎖を有するモノマ-を合成した。このモノマ-とアクリルアミドまたはアクリル酸メチルとの共重合を行った。モノマ-及びコポリマ-中の糖鎖部分の脱保護は種々検討したが、ポリマ-の接触水素化分解(PdーC解媒)による脱ベンジル化がよい結果を与えた。DMFー水(混合溶媒)という新しい溶媒系を用いることによって、従来、多くの研究者が難題としていたポリマ-の脱ベンジル化に初めて成功した。しかしながら、オリゴ糖残基の含量によって溶媒系を変化させる必要があり、今後、体系的に確立されるべき問題点である。つぎに、A型ヒト血漿中に存在するA型転移酵素(GalNAc transferase)を用いて、UDPー[ ^3H]GalNAcからポリマ-中のガラクト-ス残基上へのNーアセチルガラクトサミンこの転移反応について調べた。その結果、H型糖鎖を有するポリマ-にA酵素による[ ^3H]GalNAcの転移が起こっていることが予備的にわかった。このことは、血液型抗原オリゴ糖鎖を有する高分子が、生体分子により認識される可能性を示唆している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Kenichi Hatanaka: "Synthesis of Polymerizalbe Anhydrc Decxyribose Derivatives" Carbohydrate Research. 211. 333-336 (1991)

  • [文献書誌] Kenichi Hatanaka: "Synthesis of a New Inhibitor of the UDPーGalNAc:Polypeptide Galactosaminyl Transferase" Biochemical and Bicphysical Research Communications. 175. 668-672 (1991)

  • [文献書誌] Kenichi Hatanaka: "Synthesis of Biomedical Polymer Having BloodーGroup Antigenic Oligosaccharide Chain" Glycoconjugate Journal. 8. 276 (1991)

  • [文献書誌] 畑中 研一: "長鎖アルキル基を有する硫酸化多糖の合成" 高分子論文集. 48. 783-787 (1991)

  • [文献書誌] Kenichi Hatanaka: "RingーOpenig Copolymerization of Anhydroribose Derivatives" Polymer Journal. 23. 1383-1386 (1991)

  • [文献書誌] Kenichi Hatanaka: "Novel Synthesis of PeptidoglycanーBackbonelike Polysaccharide" Journal of Polymer Sciente:Part A:Polymer Chemistry.30. (1992)

  • [文献書誌] 共著(分担): "Polymer Yearbook" harwood academic publishers(U.K.)(edited by Richard A.Pethrick), (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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