1.側鎖エステル基を有するポリエステルの合成 無置換の双環オキサラクトン1の合成法およびその開環重合による高分子量ポリエステルの合成法に準じて、双環オキサラクトン3〜6から側鎖にエステル基を有する4種のポリエステル7〜10を合成した。モノマ-3〜6はアクロレインとマロン酸ジメチルとを出発原料に用いて調製した。三フッ化ほう素エ-テラ-トを開始剤に用いて、ジクロロメタン中ー60℃で3〜6を開環重合し、対応する高分子量のポリエステルを得た。また1と6とを共重合させたのち接触水素添加分解によりベンジル基を外し、カルボキシル基を有するコポリエステル12も調製した。ポリエステル7〜10は種々の有機溶媒に可溶である。なかでも8と9は親水性が高く、9はアルコ-ルのみならず水にも膨潤する。 2.側鎖エステル基を有するポリエステルの加水分解性 りん酸緩衝液(pH7.5)中30℃で、上記ポリエステルフィルムの加水分解性を調べた。加水分解の進行は、残存試料の重量と分子量を測定することにより追跡した。オキシエチレン側鎖を有する8および9は他のポリエステルよりも速やかに分解した。特に、水中で膨潤する9は5日以内にほぼ完全に分解した。これらの結果からみて、ポリエステルの親水性が不均一系加水分解の速度を支配する重要な因子のひとつであるといえる。
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