1.双環ラクトンのカチオン開環重合により、アセタ-ル・エスエル型のポリエステル1a〜1aおよび2を合成した。また重縮合によりエ-テル・エステル型のポリエステル3を合成した。27℃のりん酸緩衝溶液(pH7.5)中にこれらのポリエステルを14日間浸漬すると、3は全く分解しないが、1a〜1eおよび2はいずれも加水分解し、分子量の低下と分子量分布の増大とがみられた。なかでも2や親水性の高い1dは5日間の浸漬でほぼ完全に加水分解された。1aや1bの数%の繰り返し単位の側鎖にカルボキシル基を導入すると、加水分解は著しく加速された。生分解性を調べる目的で1aのフィルムの土中埋没試験を行った。Mn2.3x10^4、厚さ50μmのフィルムは9日後には脆くなり、18日後には原形をとどめないまでに分解した。 2.4ーヒドロキシメチルテトラヒドロフランー2ーカルボン酸メチルおよびその5ーメチル誘導体の重縮合により、新しいエ-テル・エステル型のポルエステル4a〜4cを合成した。前項記載の条件下でこれらの加水分解性を調べた結果、1aや1bに比べれば遅いものの、いずれも徐々に加水分解することが分った。 以上の結果からみて、主鎖の構造、側鎖への置換基の導入、さらには共重合によって、分解速度を自由に規制できる、新しいタイプの生分解性材料の開発への見通しが得られた。
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