研究概要 |
本研究の目的は、現在超LSIの製造に使われているフォトリソグラフィ-に代わる、次世代の電子線やX線に感度をもつレジスト材料の開発である。本年度はチミン光二量体を主鎖に含む、種々のポリカ-ボネ-トを合成し、その電子線による反応と、最近注目されている化学増幅型の高感度レジストへの応用の可能性ついて検討した。 合成)ヒドロキシエチルチミンフォトダイマ-(HPD)を光反応により合成し、このHPDと2,5ージメチルー2,5ーヘキサンジオ-ル(DHD)とをN,N'ーカルボニルジイミダゾ-ル(CDI)を用いて縮重合することにより、酸に対して反応性の高い構造を有するランダム共重合体(1)、及び交互共重合体(2)を合成した。これらポリマ-を適当な有機溶媒に溶かしスピンナでシリコンウエハ上に塗布した。プリベ-クした後、加速電圧20kVの電子線を照射し、TMAHアルカリ水溶液及び有機溶媒で現像し特性を評価した。 現像特性)ポリマ-(1)は紫外線(250nm)の照射により分解し、チミン誘導体を再生するが電子線の照射によっても分解してチミン誘導体を与えることが明かになった。しかし、このレジスト評価では、あまり良好な結果は得られなかった。次にこれらのポリマ-を用いた電子線による化学増幅型レジストについて検討した。(2)と酸発生剤であるPh_3S^+CF_3SO_3^ーとを混合したレジストを作成し評価したところ、感度,γ特性とも格段に向上した。さらに(1)を用いたレジストでは有機溶媒現像しかできないのに対し、(2)を用いたレジストではアルカリ水溶液による現像が可能であり、未照射部の有機溶媒による膨潤に起因するパタ-ン歪の問題が解消できると考えられる。 以上のようにチミン二量体を含むポリカ-ボネ-は電子線リソグラフィ-への応用が可能であることが明かとなった。
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