研究概要 |
1.本研究の目的は、現在超LSIの製造に使われている光を用いるフォトリソグラフィ-に代わる、次世代の電子線やX線に感度を持つレジスト材料の開発である。 平成2年度は主に、光二量体を主鎖に含む種々のポリカ-ボネ-トを合成し、そのポリマ-の光化学的性質、熱安定性等の検討を行った。 平成3年度は前年度に得られたポリマ-の電子線による反応性と最近注目されている化学増幅型の高感度レジストへの応用と電子線レジストとしての評価について検討した。 2.ポリマ-の光酸分解反応 光酸発生剤(Triphenylsulfonium triflate)を10wt%含むポリマ-溶液をスピンコ-ト法によりシリコンあるいは石英板上に塗布し、250nmの紫外線を照射した。光照射により,ピリミジン環に基づく紫外吸収(270nm)が増大し、光二量体の開裂反応の進行が示唆された。また、照射後の加熱により、炭酸エステル結合に基づく1738cm^<ー1>付近の赤外吸収が減少し、酸分解反応が効率よく進行していることを確認した(Scheme 2)。 3.レジスト評価 紫外線および電子線(EB)照射後、70℃で熱処理したレジステフィルムを、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用い浸漬法によって現像し、レジスト評価を行なった。未照射部は溶解せず、照射部のみが溶解し、ポジ像が得られた。これは、光および酸分解によってヒドロキシエチルチミンが生成し、現像液に可溶となったためと考えられる。電子線・酸分解により、大きな極性転換がおこるため、解像度パラメ-タ-であるγ値が非常に大きくなり、このような高感度化、高解像度化が実現できたものと考えられる。実際に、パタ-ン作成を試みたところ0.5μm程度のline & spaceパタ-ンの作成が可能であることが明らかとなった(Fig.2)。
|