研究課題/領域番号 |
02650670
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
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研究分担者 |
吉岡 直樹 早稲田大学, 理工学部, 学振特別研究員 (30222392)
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
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キーワード | π共役高分子 / 置換ポリアセチレン / ポリラジカル / フェノキシラジカル / 磁気的相互作用 / 高分子磁性体 / スピン配向 |
研究概要 |
安定ラジカル構造を有する共役高分子を対象としてスピン制御の可能性を高分子合成の立場から明らかにすることを目的として以下の成果を得た。 1.平成2年度に合成したポリ[(3.5ージーtertーブチルー4ーオキシフェニル)アセチレン](1)、ポリ(エチニルフェニルガルビノキシル)(2)の化学構造および電子状態をより詳細に検討した。WCL_6、MoCl_5で重合したポリマ-はそれぞれtransおよびcis型の共役ポリエン主鎖構造を有することを確認した。また、選択的重水素置換体の溶液ESRスペクトルの解析から1では、側鎖で生成した不対電子が、主鎖に移動しおよそ8モノマ-単位にわたり非局在化していることを定量的に評価した。 2.ポリアセチレン主鎖の共役した電子構造を紫外光電子分光スペクトルのイオン化ポテンシャル(I^<th>)から解析した。酸化前では、1は2に比べ発達した共役系を有するが、酸化後にはほぼ等しいI^<th>となった。1ではキノイド形成に伴う主鎖共役系の切断が認められた。かさ高い側鎖置換基の空間配置の効果が反映されていることが明らかとなった。 3.スピン濃度の増加に伴って見られる磁気的相互作用は、ラジカル部位の化学構造によって全く異なった。1では、接近した不対電子間に反強磁性的な相互作用が働いた。2では、不対電子が側鎖アリル骨格内に局在化しているが、主鎖に沿って広がったπ電子系を介するスピン分極効果が認められた。極低温における磁化率測定から求めたWeiss温度はいずれも負値(1:ー2.OK,2:ー1.6K)で高分子鎖間の相互作用は反強磁性的であった。 以上を総合して、主鎖の電子状態、側鎖ラジカル構造の空間配置がこれらポリラジカルの磁性を支配していることを明らかにした。
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