研究課題/領域番号 |
02650672
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
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研究分担者 |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助手 (10213886)
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キーワード | 高分子プロドラッグ / リンゴ酸ポリマ- / キトサン / オリゴマ- / 5ーフルオロウラシル / 糖鎖 / リリ-ス速度 / 制がん活性 |
研究概要 |
現在、がん化学療法に用いられている制がん剤5ーフルオロウラシル(5FU)は強い制がん活性を有するが、同時に強い副作用を有している。そこで、昨年度は、5FUの副作用の抑制、薬効の特続性の向上、標的部位への薬物の選択的な運搬などを期待して、リンゴ酸ポリマ-、キトサン、ポリガラクトサミンなどの生分解性高分子に5FUを担持した高分子コンジュゲ-トの合成を行った。今年度は、このようにして合成した生分解性高分子/5FUコンジュゲ-トからの5FUのリリ-ス挙動とそれらの制がん活性の評価を行い、制がん活性を有する高分子プロドラッグの分子設計について検討を加えた。そして、以下の結果を得た。 1)薬物のリリ-ス挙動の評価:合成した高分子/5FUコンジュゲ-トの酵素系および非酵素系での加水分解を37℃でin vitroで行い、高速液体クロマトグラフィ-を用いて5FUのリリ-ス挙動を調べた。その結果、リパ-ゼ、エステラ-ゼなどによる酵素分解で起こる5FUのリリ-スは観測されず、アルカリ性pH条件下で非酵素的な5FUのリリ-スが起こりやすくなることが明かとなった。 2)制がん活性の評価:上記のコンジュゲ-トの腸瘍増殖抑制効果をin vitroで調べ、p388白血病細胞担がんマウスに対する延命効果をip投与で評価した。その結果、生分解性高分子へ5FUをコンジュゲ-ト化することにより、5FUの副作用が軽減し、有効な延命効果が発現することがわかった。またガラクトサミン鎖のコンジュゲ-トへの導入、あるいはキャリア-としてのポリガラクトサミンの使用は、肝がん細胞SKーHepー1の増殖抑制効果をCell Specificに発現することが明かとなり、Targeting Moietyとして糖鎖が有用であることが示された。
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