生分解性高分子をキャリヤ-として選び、それら高分子キャリヤ-への5ーフルオロウラシル(5FU)の担持、および認識能を有する糖鎖の導入を行い、in vitroでのがん細胞増殖抑制効果とin vivoにおける担がんマウスの延命効果を評価して、5FUの高分子プロドラッグの分子設計について検討を加えた。そして、以下の結果を得た。 1)生分解性高分子/5FU・コンジュゲ-トの合成:リンゴ酸ポリマ-、キトサン、ポリガラクトサミンをキャリヤ-とし、疎水性のヘキサメチレン鎖を介してアミド結合、エステル結合、カルバモイル結合などで5FUを担持した高分子コンジュゲ-トの合成法を確立した。 2)認識能を有する糖鎖を導入した生分解性高分子(5FU・コンジュゲ-トの合成:キトサン、ポリガラクトサミンなどにはキャリヤ-自体の性質から特定細胞へのアフィニティが期待されるが、リンゴ酸ポリマ-ではそのようなことは期待できない。そこで標的指向性を賦与する目的で肝細胞に認識されるガラクトサミンなど種々の認識能を持つ糖鎖を5FUと共にリンゴ酸ポリマ-に担持した。 3)薬物のリリ-ス挙動の評価:リパ-ゼ、エステラ-ゼなどによる酵素分解に伴う5FUのリリ-スは認められず、アルカリ性pH条件下で非酵素的な5FUのリリ-スが起こりやすくなることがin vitroで明かとなった。 4)制がん活性の評価:生分解性高分子への5FUのコンジュゲ-ト化により、副作用が軽減し、p388担がんマウスの延命効果が大きくなることがわかった。またガラクトサミン鎖の導入は肝がん細胞SKーHepーlの増殖抑制効果をCell Specificに発現することも明かとなった。
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