研究概要 |
平成3年度は2年度に引続き実験を行い、反応物質である特定フロンCCl_2F_2や分解生成物であるCOやCO_2の転化率ついて検討した。そして実験結果および平衡計算結果を踏まえ、軸方向1次元の速度、温度、濃度分布を仮定したフロン分解反応の速度論的解析を行った。計算に考慮した化学種はAr,CO_2,CO,O,O_2,H,H_2,OH,H_2O,Cl_2,Cl,HCl,C10,F_2,F,HF,COCl,COCl_2,COF,COF_2,FO,CF_2,CF,ClF,CClF_2,CCl_2F_2の26種であり、これらの間に60の素反応を仮定した。分解条件は実験条件と 同様、つまり水素と酸素を同時に添加した場合を計算した。その結果、CO、CO_2の転化率は実験結果と比較的良い一致がみられ、計算結果の妥当性が示された。この計算結果より以下のことが推測された。ガス流量比がいかなる場合でもCCl_2F_2はすぐに分解する。そしてガス流量比がCCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:1の場合、最終生成物はCO,CO_2,H_2O,HF,HCl,Cl_2であった。さらにH_2を2割多く添加した場合(CCl_2F_2:H_2:O_2=1:2.4:1)、このCl_2の生成が抑えられた。一方、CCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:0.5の場合、CO_2,Cl_2は生成せず、最終生成物はCO,HF,HClとなった。また水を添加した場合(CCl_2F_2:H_2O=1:2)の結果は、CCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:1の結果と同様であり、この場合もH_2を過剰に添加することでCl_2の生成を抑制できた。このようにガスの流量比により生成物の組成が変化することが数値計算により示されたが、HF,HCL,Cl_2の定量が困難であるため、実験結果と計算結果の比較ができず、この点について今後さらに検討する必要があると考えられた。 本研究は今年度が最終年度にあたり総括として、フロンの熱プラズマ分解は大量に短時間に処理できる方法として十分に有効であると考えられた。
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