研究概要 |
クリ-ンル-ム配管系あるいは各種壁からの微小粒子の発塵現象を明らかにするために,本年度は,0.5μm〜5μmのポリスチレンラテックス単分散粒子をダクト壁に沈着させ,空気流による飛散実験を行なった。ダクト壁の材質として,アクリルの原板および導電加工を施したアクリル板を使用し,表面の凹凸,静電気力,粒径の飛散量に及ぼす影響を調べると共に,外乱として,空気流に急激な速度変動を与えた場合の影響についても検討し,粒子が50%飛散する気流速度から,粒子と壁との間の付着力を定量化した。それらの結果をまとめて以下に示す。 1.1μm以下に粒子は、定常流では気流を100m/s以上にしてもほとんど飛散しない。 2.1μm以上の粒子については,粒径が大きいほど飛散しやすいが,50%飛散させるのに100m/s以上のダクト内平均流速が必要である。しかし,凝集粒子は,単一粒子に比べて、はるかに飛散しやすい。 3.平板上に120μmのワイヤを張り突起物につくると,その上の粒子は極めて飛散しやすく,1μmの粒子でも,70m/sの気流で50%が飛散する。 4.誘電体壁と導電加工壁からの、平衡帯電粒子の飛散量を比較したところ,予想に反し,誘電体壁からの方が飛散しやすいことがわかった。このことは、付着力としては静電気力よりもvan der WaaLs力の方が支配的で、表面の起状が起伏が飛散に大きく影響しているからと思われる。 5.電磁弁を操作することにより,気流速度を急激に変化させると,飛散は促進される。また長時間流し続けると,わずかながらも粒子は飛散するのが観察された。 6.滑らかなアクリル板上の粒子は,法線方向付着力(van der Waals力)の数%の流体抵抗で飛散した。この結果は,付着粒子の気流による飛散が回転運動をきっかけにして起るとするWangのモデルと一致する。
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