研究概要 |
高速ダイナミックフィルタ-の開発に関し次の結果を得た。 1)サブミクロン懸濁粒子を含む希薄スラリ-について円筒形セラミック膜を回転するダイナミックフィルタ-を試作して精密濾過を行い,1500rpmの比較的低い回転速度を対象として濾過特性を解析し,ニュ-トン流体の場合,濾過速度の経時変化および平衡濾過速度と操作諸条件との関係を求めて,ダイナミックフィルタ-の設計・操作のための知見を提案した。べき乗則非ニュ-トン流体系スラリ-の精密濾過のために回転円板型フィルタ-についても研究し,濾室内部におけるスラリ-の流動状態を解析し,濾材近傍の層流境界層および中央部の核流部より成立つとの結果を得た。更に,円筒型についても検討を進める予定である。 2)バイオ懸濁スラリ-を中心にして,管形セラミック膜によるクロスフロ-濾過を行い,濾過特性に及ぼす掃流々速・濾過圧力・スラリ-濃度・濾過ケ-クの特性値等の影響を測定して,回転円筒型ダイナミックフィルタ-における濾過特性と比較し,クロスフロ-濾過においても濾過速度と操作条件の相関が回転円筒型の場合と同様にして解析できるとの知見を得た。また,従来のケ-ク濾過特性との関係も明らかとなり,濾過面積急縮小型のデッドエンド濾過によって定圧濾過係数を測定すれば,本研究結果を併用してクロスフロ-濾過速度が推算できるとの結果も得られた。 3)セラミック分離膜など粒状層濾材における懸濁物質の捕捉分離状態の解析のために,けいそう土濾過助剤層を用いてサブミクロン懸濁粒子の精密濾過を行い,濾材内部における捕捉分離粒子量の測定法を得た。すなわち,ある種の液中に濾材層を入れて懸濁させ,遠心沈降平衡状態を生み出せば,濾材粒子は底部へ沈積し,捕捉粒子を懸濁状態に保つことができて,層内の捕捉量分布とその経時変化が測定可能となる。
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