研究概要 |
高速ダイナミックフィルタ-について,超微粒懸濁物質の水系スラリ-の濾過特性の解析にもとづき,高粘性流体系スラリ-および高粘着性生成スラリ-への適用性を検討した。 1)高粘性スラリ-の場合,平衡濾過速度は水系スラリ-の場合よりかなり小さく,高い濾過速度を得るには生成ケ-クを膜面からより完全に掃流する必要があり,かなり大きい剪断力が不可欠である。また,静止濾材によるデッドエンド濾過と比較すると,ダイナミック濾過効果は濾液粘度が大きい程増加する傾向が認められ,高剪断型ダイナミックフィルタ-が有利である。従来のクロスフロ-濾過のように高剪断力をポンプによるスラリ-の高速流動によって得るのと異なり,高速ダイナミックフィルタ-では濾材の高速回転によって大きい剪断力を作用させることができ,優れた濾過促進作用が達成できることを明らかにした。 2)酵母のように粘着性や圧縮性が大きい濾過ケ-クを生成するスラリ-においても,平衡濾過速度は,濾過圧力の増加とともに一定の限界値に漸近する傾向を呈する。しかし,高粘性・高粘着ケ-クの場合,限界流速を得るには,かなり大きい濾過圧力が必要であり,常用圧力の範囲では,濾過圧力に依存して平衡濾過速度が変化する。この圧力範囲では,平衡濾過速度は剪断応力とともに増加してスラリ-の諸性質など濾過条件によって定まるある限界値に到達する。非圧縮性ケ-クの場合は,ケ-ク粒子間の粘着性が小さく掃流が比較的容易であり,限界流速に達するのに必要な剪断応力はかなり小さい。この測定より,バイオ懸濁物質のように高粘着性ケ-クが生成される場合も,高速回転型の精密ダイナミックフィルタ-が適する。懸濁質より微細な他の粒子の添加もダイナミック濾過速度の改善に有用であり,濾過促進剤として利用できることも明らかとなった。
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