研究概要 |
円筒状の容器に粒子を充填し,その容器を回転させ殻状の粒子層の容器外周部からガスを流し粒子を流動化させる「遠心流動層」は新しい流動層技術の一つとして注目されている。この遠心流動層は高速流動層に匹敵する高ガス操作が可能であり,新材料分野などで取り扱われている超微粒子の流動化技術として最適であるといわれているが,遠心流動層に関する研究は極めて少なく特に装置のスケ-ルアップに伴う流動諸特性に変化についての報告は全くなく,実用化にむけてはこれらの知見が不可欠である。本研究では,遠心流動層装置(層外径14cm)を用いてガス出口径及び装置幅を変化させ流動諸特性に関する実験を行い,遠心流動層のスケ-ルアップの流動諸特性に及ぼす影響について検討を行った。 まず装置中心部のガス出口の大きさを変化させて,層上部(回転円筒中心部)のフリ-ボ-ド部での粒子の挙動をビデオ等で観察すると共に粒子の装置外への飛び出し量を定量的に評価した。フリ-ボ-ド部での粒子の軌跡を運動方程式から数値計算によって求め,粒子の飛び出し量との関係を考察した。これらの結果からガス出口径と粒子飛び出し量の関係を明らかにすると共に,装置のスケ-ルアップに伴う粒子の飛び出しの変化について基礎的知見を得た。 続いて層内気泡や層表面での気泡の破裂やそれによって生じる粒子の飛び出しを高速度カメラにより撮影しその挙動を考察した。遠心流動層における気泡の大きさは重力場に比べ非常に小さく,フリ-ボ-ドへの粒子の飛び出し速度も非常に小さいことが明らかになった。これらの知見と遠心流動層の粒子飛び出し量との関係について考察した。 さらに遠心流動層装置の装置幅を変化させて,粒子層の層膨張及び層内粒子混合に及ぼす影響を実験的に考察した。これらの実験で得られた結果と既往の知見と比較検討し,装置のスケ-ルアップに伴う流動特性の変化の基礎的知見を得た。
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