研究概要 |
粒径が0.1μm以下の超微粒子のガス中に浮遊した状態での粒径と粒子個数濃度の測定においてもっとも重要な役割を果たしている,凝縮法による粒子検出器(凝縮核計数器)の開発と性能改善のための基礎研究およびその有用性を実証するための応用研究を行い次の成果を得た. 1.基礎研究:超清浄空間のような超低濃度の粒子検出のための大流量連続混合型凝縮核計数器を作製し,その性能を左右する過飽和雰囲気の形成と粒子計数効率について,いくつかの影響因子,すなわち飽和蒸気とエアロゾルの温度,それらの混合比,混合後の温度制御,凝縮蒸気の種類など,を総合的に検討した.その結果,現時点で,エチレングリコ-ルを凝縮蒸気とした場合に,粒子計数効率が10nm,5nmの超微小粒子に対してそれぞれ,80%,50%という高い値を達成できる条件を見出した.現在,5nm以下の大きさの単分散超微粒子の発生が困難であるが,次年度には5nm以下の超微粒子の検出を行うべく実験システムの改善を行なっている.また,粒子計数効率をさらに高めるべく,粒子上に凝縮させる蒸気の種類の探索を含めてさらに検討を行なっていく. 2.実証研究:プロトタイプの大流量連続混合型凝縮核計数器を用いて,超高性能メンブレンガスフィルタ-の性能評価手法を確立した.すなわち,現存する最高の補集効率を有するフィルタの効率9ー9%(99.9999999)の計測に成功した.他方,ウェ-ハなどの超清浄表面への超微小粒子の沈着速度を評価するための基礎的な実験に凝縮核計数器を用い,10nm以上の大きさの粒子の,層流ならびに乱流場における沈着挙動を明らかにすることができた.
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