気泡塔・懸濁気泡塔は気泡により塔内の液の流動化を行わせるため、機械的撹拌に必要なシ-ル部分がなく、高圧操作に適していると考えられるのに、高圧気泡塔・懸濁気泡塔に関する基礎的な研究は遅れている。すなわち、液中への気泡生成に関する従来の研究の多くは大気圧下で行われたもので、高圧下での気泡生成に関する研究は少ない。既往の研究結果を詳細に検討すると、必ずしも信頼できる結果とはいいがたいものも含まれている。 本研究では、高圧気泡塔・懸濁気泡塔の流動現象に関与する気泡特性のうち、特に気泡の生成挙動を実験的、理論的に明らかにすることを目的とする。本年度はまず高圧気泡塔並びに配管系の作成を行った。高圧気泡塔は塔径40mm、塔高330mmの耐圧気泡塔で、塔側面に3ヶ所の観察窓を有する。気泡吹き込みは、懸濁液を使用することを考え、メインテナンスの容易な単孔ノズルとした。この気泡塔をアングルへ固定し、ボンベからの配管、減圧弁、流量調節弁や流量計のセットを行い、安全対策を考えた装置の組立を行った。 現在、本高圧気泡塔を用い粒子が存在しない状態で、系内圧力、ガス流量などの操作因子を変化させ、生成気泡容積の測定および気泡生成挙動の観察を順次行っている。 一方、理論的な検討については、単一孔よりの非球形気泡成モデルを高圧下での気泡生成にも適用できるように拡張し、既応の文献の結果を説明しうることを見いだした。さらに、本実験で得られた結果と比較検討し、高圧下での特異的な気泡生成状態を説明しうることが明らかとなった。
|