液中への気泡生成に関する従来の研究の多くは大気圧下で行われたもので、高圧気泡塔・懸濁気泡塔の基礎的研究としての高圧下での気泡生成に関する研究は少ない。平成2年度は、高圧気泡塔・懸濁気泡塔の流動現象に関与する気泡特性のうち、特に気泡の生成挙動を実験的、理論的に明らかにすることを目的として、まず高圧気泡塔並びに配管系の作成を行い、この高圧気泡塔を用い粒子が存在しない状態で、系内圧力、ガス流量などの操作因子を変化させ、生成気泡容積の測定および気泡生成挙動の観察を行った。 平成3年度には、以下の研究を行った。 1.平成2年度の粒子が存在しない状態での気泡生成の実験結果を、さらに操作変数(ガス流量、系内圧力、ノズル径、蓄気室容積)を広範囲に変化させ、拡張した。また、気泡の生成現象を観察し、特定の条件下では、高速度ビデオカメラで気泡生成状態を撮影し、気泡生成現象の分類、生成状態領域について検討した。 2.以上の実験結果をもとに、著者らか既に提出している非球形気泡生成モデルを用いた計算結果と実験結果とを比較検討した。 3.粒子が存在する状態で、気泡の生成現象を観察し、ビデオで気泡生成状態を撮影した。操作変数としては、系内圧力、ガス流量、粒子ホ-ルドアップを変化させた。気泡容積の測定には、光電センサ-が用い、さらにビデオによる解析も行った。 4.気泡生成モデルを高圧下の懸濁液中での気泡生成に拡張する際の理論的な検討を行った。 5.既往の高圧気泡塔・懸濁気泡塔の実験結果に対する評価および検討を本実験結果との比較により行い、高圧気泡塔・懸濁気泡塔内の気泡生成装置設計の指針について考察した。
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