液中への気泡生成に関する従来の研究の多くは大気圧下で行われたもので、高圧気泡塔・懸濁気泡塔の基礎的研究としての高圧下での気泡生成に関する研究は少ない。 本研究ではまず高圧気泡塔を作製した。ついで、この高圧気泡塔・懸濁気泡塔を用い、生成気泡容積に及ぼす操作圧力、ガス流量、オリフィス径、蓄気室容積及び粒子ホ-ルドアップの影響を実験的に測定し、非球形気泡生成モデルよりの計算結果と比較することで、本実験範囲内では次の結論が得られた。 1.系内圧力の減少、ガス流量の増加、オリフィス径の増加および粒子ホ-ルドアップの減少に伴い、気泡容積は増加した。また、非球形気泡生成モデルよりの計算結果も、実測値と同様の傾向を示した。 2.蓄気室容積の減少に伴い気泡容積は減少するが、高ガス流量域や高圧力領域においては、気泡容積に及ぼす蓄気室容積の影響は無視できる。また、非球形気泡生成モデルよりの計算結果も、同様の傾向を示した。 3.生成気泡の形状を調べた結果、気泡の形状は圧力の増加に伴い縦長になった。 気泡塔・懸濁気泡塔により気液あるいは気液固物質移動操作を行わせる場合、気液界面積を増大させることが物質移動量の増大につながる。本研究結果より気液界面積を増大させるには低ガス流量領域では、系内圧力を増大、オリフィス径を減少、蓄気室容積を減少、粒子ホ-ルドアップを増大させることが必要であることが分かった。しかしながら、系内圧力、オリフィス径、蓄気室容積はいずれも蓄気室定数N_c中に含まれており、結果的にはこれらの変数を操作することにより定ガス流量条件、すなわちN_c=1の条件に近づけることにより気泡容積を最小にすることができる。従って、ガス分散器の設計の基準として蓄気室定数N_cを用いることが推奨される。
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