研究概要 |
Sicウイスカ-の量産のプロセスの確立による低コスト化のために、本研究では反応工学的な知見の蓄積と体系化にもとづき、太いウイスカ-のみを選択的に成長させる連続的プロセスを考案し、その実現のための基礎的知識の収集を目的とした。本研究では、連続Sioガス発生部(1400℃)とSicウイスカ-成長部(1400℃〜1600℃)を有し、Sio長時間連続供給方式をもつ縦型反応器を作製し、触媒の組成,ガス流量、Sio発生粒子供給速度、重力に対するウイスカ-の成長方向等を変えてウイスカ-を合成した。その結果,Sio_2/C複合粒子を0.025g/min、CH_4+Arを流量400ml/minで供給したとき,直径50μmのNi滴を安定に維持することができ、10時間後に直径25μm長さ100μmの直線状の太くて長いウイスカ-を得た。ただし、基板上37カ所においた触媒粒子から成長したウイスカ-35本の大半は途中で折れ曲がる等の欠陥があるため、より基礎的な立場に立ち、ウイスカ-の形状におよぼす各種因子の効果を1つ1つ検討した。圧成物のSEM写真から、(1)触媒をあらかじめSic飽和にすることによって触媒が過飽和となるウイスカ-が析出するまでの時間を短縮することが可能であり,また蒸気圧降下により蒸気圧を下げ,1次核の蒸発を防ぐことによって触媒液滴の小径化を防ぎ,2次核の生成を抑制することが可能であること,(2)ガス流速を下げてSio濃度を上げることによりウイスカ-成長速度の向上が可能であることを確認した。なお,(3)重力による影響は確認できなかった。また、直線的なウイスカ-の合成については、重力による影響,ガス流速の影響が考えられたが、確認できなかった。いずれにしても,あらかじめSic濃度を高くしたウイスカ-の核を基板上に設け十分長時間にわたりSio(g)を連続的に供給すれば,直線的に,太く長いSicウイスカ-を大量に生産しうることがわかった。
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