研究概要 |
本研究は、アルコ-ル水溶液中のアルコ-ル分子が疎水性表面上に選択吸着する現象を利用し、低濃度アルコ-ル水溶液からパ-ベ-パレ-ション法によってアルコ-ルを濃縮できる膜、いわゆるアルコ-ル選択膜を開発することを目的とし、平成2、3年度の2年間実施された。本年度は最終年度にあたり、その研究成果をつぎのようにまとめることができる。 1.フッ素化モノマ-をプラズマグラフトした分離膜の創製 末端基にCF_3基を持つ5種のフッ素化メタクリル酸エステルモノマ-(trifluoroethyl methacrylate,TFEMA;hexafluoroisopropyl methacrylate,HFIPMA;pentafluoropopyl methacrylate,PFPMA;perfluorooctylethyl methacrylate,PFOEMA;pentadecafluorooctyl methacrylate,PDFOMA)をポリエチレン、ならびにポリプロピレン多孔質膜にプラズマグラフトし、疎水性表面を持つアルコ-ル分離膜を創製した。いずれの膜もアルコ-ル選択透過性をしめし、当初の目的をの膜の開発に成功した。アルコ-ル分離膜の一つであるフラックスはいずれも1kg/m^2ーhと高い、セパレ-ションファクタ-はグラフトするモノマ-の種類によって2.94ー5.39まで変わる。中でも、PFPMAをグラフトした膜が一番高いセパレションファクタ-(5.39)を示した。この膜を用いると、6wt%エタノ-ル水溶液を25.6wt%まで濃縮が可能である。 以上の結果より、キャピラリ-モデルを用いたパ-ベパレ-ション分離膜は、低濃度アルコ-ル水溶液の分離に適していると結論する。
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